JR東日本 京浜東北線・根岸線のホームドア:横浜線対応大開口タイプ(東神奈川駅以南)

タイプ | 腰高式 | |
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メーカー | JR東日本メカトロニクス・三菱電機 | |
開閉方式 | トランスポンダ式連携 | |
停止位置許容範囲 | ±350mm(TASCあり) | |
開口部幅 | 一般部 | 2,000mm |
8号車4番ドア | 3,350mm | |
非常脱出ドア | 開き戸式(各号車連結部) | |
支障物検知センサ | 3Dセンサ |
JR根岸線の桜木町駅では、2018年8月9日に1・4番線で同駅初のホームドアが稼働開始されました。桜木町駅を含む京浜東北・根岸線の東神奈川駅~大船駅間は、同線の10両編成と横浜線から乗り入れる8両編成が発着するため、先頭車ドア位置の違いに対応できる多段式大開口ホームドアが同社で初めて導入されました。
その後、2021年度末までに東神奈川駅1・4番線・横浜駅・関内駅・山手駅でも同タイプのホームドアが整備されています。
目次
1 ホームドアの仕様
1.1 基本仕様
当記事で紹介する8号車4番ドアとその前後を除いた箇所の基本仕様は従来と変わっていません。基本仕様については別記事をご覧ください。
1.2 8号車4番ドアの多段式大開口ホームドア

近年のJR東日本一般型車両は乗務員室の奥行きが広く、その分だけ乗務員室直近のドア位置が中間車と比べて1m以上ずれています。そのため、10両編成と8両編成でドア位置のずれが生じる8号車4番ドアのみ幅3,350mmの大開口として、戸袋スペースが確保できない片側の扉には二重引き戸が採用されました。標準の開口幅は2,000mmなので、つまり大開口部はちょうど車両ドア1つ分ほど広くなっています。
2010年の山手線ホームドア導入開始当時は、山手線より1両短い京浜東北線にも対応できるホームドア[1]田町駅~田端駅間ではトラブル時などに並行する京浜東北線が山手線の線路を使用する場合がある。が技術的に難しかったことから、山手線10号車を先頭車のドア位置に極力近づけた特殊構造の車両に置き換えることで対応しました[2]ホームドアに対応できない6ドア車の置き換えにあわせて特殊構造の4ドア車が組み込まれた。。それが8年間の技術の進歩によって、車両側ではなくホームドア側で課題を解消できるようになったのです。

特徴的なのはそのいびつな見た目です。二重引き戸は強度上の問題なのかガラス透過部の面積がかなり小さく、対になる扉との外観が全く異なってます。
二重引き戸を収納する8号車4-3番ドア間の筐体だけでなく、対になる8-9号車連結部の筐体も標準タイプの約2倍の厚みがあります。なお、標準タイプは各号車連結部が緊急脱出口になっていますが、このタイプの8-9号車連結部には脱出口が設けられていません。
2 ホームドアの開閉方式
京浜東北線・根岸線のホームドア開閉方式は、山手線と同じくトランスポンダ装置を用いた送受信により車両ドア側の開閉操作と連携するシステムが採用されています。列車が±350mmの停止許容範囲内に停止すると、1号車(大船方先頭車)に搭載された「ホームドア車上子」と線路側に設けられた「ホームドア地上子」がピッタリ重なって情報の送受信が可能になります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ホームドア設置前は東神奈川寄りに停車していた
京浜東北・根岸線へのホームドア設置に伴い、横浜線のE233系6000番台にもホームドア車上装置とTASC(定位置停止装置)を搭載する改造が施工されました。また、従来の8両編成停止位置は駅ごとに階段位置などを考慮して決められていましたが、ホームドア設置済みの番線は1号車側を10両編成と揃えた停止位置に変更されています。これはホームドア車上子の位置を10両編成と揃えるためです。
ちなみに、当時横浜線の町田駅で試行運用が行われていた「スマートホームドア」も、車両側に搭載された機器を活用する形で2019年3月からトランスポンダ連携化されました。
3 おわりに
2022年度のホームドア設置予定駅に東神奈川駅~大船駅間の駅は含まれていませんが、残りの駅でも設置準備として床面先端タイル・点字ブロック等の改良工事が進んでいます。
しかし、ホームドア固定用ベースの準備状況を見ると、当記事で紹介した従来型ホームドア用ではなく「スマートホームドア」用の構造をしていました。つまり、近いうちにスマートホームドアでも横浜線対応の大開口タイプが登場する可能性が高いと見られ、一体どのような構造になるのか注目されます。