JR西日本のホームドア:4ドア車用2次タイプ(京橋駅・大阪駅)

タイプ 腰高式
メーカー JR西日本テクシア・ナブテスコ
開閉方式 開扉 自動(定位置停止検知)
閉扉 車掌手動操作
停止位置許容範囲 ±800mm(TASCなし)
開口部幅 【推定】2,900mm
非常脱出ドア なし
支障物検知センサ 光電センサ・3Dセンサ併用

JR西日本の京橋駅1・2番のりば(JR東西線・学研都市線ホーム)では、2015年度から2016年度にかけて可動式ホーム柵(以下:ホームドア)が整備されました。JR西日本の在来線としては北新地駅・大阪天満宮駅に次ぐ3駅目のホームドア設置で[1]当時六甲道駅で試行運用中だった昇降式ホーム柵は除く。、この2駅とは仕様が一部変更されています。

2017年度には大阪駅6・7番のりば(JR京都・神戸線の普通列車用ホーム)でも同タイプのホームドアが稼働開始されました。各ホームの稼働開始日は以下の通りです。

  • 京橋駅1番のりば:2016年3月19日
  • 京橋駅2番のりば:2017年2月25日
  • 大阪駅6番のりば:2017年4月22日
  • 大阪駅7番のりば:2017年5月27日

1 ホームドアの仕様

北新地駅・大阪天満宮駅のタイプ(以下:1次タイプ)と同じく20m4ドア車(207系・321系)に合わせた構造です。1次タイプよりも扉のガラス透過部が大幅に拡大されており、JR東日本の山手線ホームドアと外観が酷似しています。

本タイプが設置されたホームはいずれも地上駅ですが、進入速度が低いためTASC(定位置停止装置)なしでも停止精度が確保可能と判断されたようです。開口幅は1次タイプの2,800mmから2,900mmと僅かに拡大されており、停止許容範囲も±750mmから±800mmに広がっています。

路線のラインカラーに準じて大阪駅は青色の帯
扉は互い違いに収納される
下部厚みが増した断面形状が分かりやすい
ホーム側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両連結部の筐体
※非常開ボタン表示追加前に撮影

扉下部の厚さが増しており、筐体下部もそれに合わせた形状をしています。この構造は現在に至るまでナブテスコ製ホームドアの標準仕様となっています。

また、車両連結部の筐体は駆動装置などを収めた部分どうしをパネル材でつなぐ構造となりました。これは軽量化やコスト削減だけでなく、ホーム床面の温度による伸縮、あるいは曲線ホームにおける寸法変化を吸収するためかもしれません。

支障物検知センサは1次タイプと同じく3Dセンサと光電センサの併用[2]3Dセンサに不具合が生じた際に光電センサがバックアップとして機能する。ですが、3Dセンサの位置がセンサボックスの上方に変更されました。

2 ホームドアの開閉方式

ホームドアの開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(定位置停止検知)
  • 閉扉:車掌手動操作

当初の北新地駅・大阪天満宮駅は開扉も車掌による手動操作でしたが、のちに列車の定位置停止を検知するとホームドアが自動的に開扉するシステムへと改修されており、京橋駅・大阪駅は時期的に当初から自動開扉に対応していたと思われます。

システムの概要は別記事で紹介しています。

運転士用開閉操作盤
在線検知センサ
車掌用開閉操作盤

在線検知センサや車掌用操作盤の仕様は1次タイプと特に変わっていないと思われます。

一方、2次タイプから追加された設備が運転士用の開閉操作盤です。JR西日本では基本的に回送列車の車掌乗務を省略しているため、当駅止まりの列車では運転士がこの操作盤を用いてホームドアの閉操作を行います。

所定停目より1mほど前方に設けられた「回送用」停目

また、京橋駅・大阪駅は回送列車等であっても原則として通過できない駅のため、所定の定位置から少しずらした場所に「回送用」という停止位置目標を設けることでホームドアが自動開扉しないように工夫されています。このような “ホームドアを開けさせない” 工夫については他の事例も含めて別記事にまとめています。

3 おわりに

その後4ドア車用のホームドアが設置されたJR総持寺駅や高槻駅3・4番のりばでは、さらに停止許容範囲を拡大するために同社初の二重引き戸式大開口ホームドアが採用されました。今後ふたたび大開口ではない通常タイプが新設される可能性はかなり低いと思われます。

出典・参考文献

脚注

References
1 当時六甲道駅で試行運用中だった昇降式ホーム柵は除く。
2 3Dセンサに不具合が生じた際に光電センサがバックアップとして機能する。

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